2011年5月8日日曜日

イラク戦争

イラクの戦争が済んでから二ヶ月になりますけど、まだ平和は取り戻しておらず、あちこちでゲリラの反撃がありアメリカ兵の死者が出ております。イラク国民も市民に多くの犠牲者が出て、そのうえ家や建物が破壊され、電気や水などが今でも不自由して、市民の生活を脅かし国民感情を悪くしております。フセイン大統領を追い出すために払った犠牲はあまりにも大きく、いまだにフセインの行方が判らない状態です。
核兵器や化学兵器を所有し、それ自体が諸国を脅かし、ゲリラの手に渡りかねないことを理由にアメリカが仕掛けた戦争で、イラク国民に自由と民主主義とを与えることを目的に、国連安保理事会の反対を押し切って始めた戦争なのです。しかし未だに核兵器や化学兵器は見つかっておりません。もともとブッシュ大統領は国家の安全は民主主義よりも大事で、そのためにはアメリカを脅かす国は徹底的にやっつけると言っていて、その力を世界の国に見せ付けたようです。この戦争は、そのために開発された近代兵器を実験する機会でもあったのです。
アメリカは第二次世界大戦にも新しい核兵器を武器として実験するため、広島と長崎に原爆を落としました。何十万の市民が亡くなりました。日本は無条件降伏し、新しい憲法の下に民主国家に生まれ変わりました。農地は改革され、土地を持たない農業者に与えられ、財閥的な企業は解体され、新しい国づくりが始まり今日に至っております。しかしイラクの国は思うようには行かないでしょう。まず宗教に政治色が強く、また多くの部族 宗派があり、お互いに争うからです。イスラエルとパレスチナのような民族間の争いになりかねないのです。
しかし、アメリカが真に望んでいるのは、莫大なイラクの石油資源です。❀

新大統領

新大統領が就任してから三ヶ月が経っている。国民の期待と信頼は大きい。
選挙のときに掲げた公約、フォーメ・ゼロ運動*と汚職追放はまだ実行されていない。しかし彼の外交は思ったよりもよい。アメリカやドイツ、フランスなどからも好評を得ています。またFMIなどからも約束が取り付けられて、前大統領とあまり変わらない経済路線を歩んでいるように受け取れます。
まず高い利子でインフレを抑えようとしている。これはまず今日までPTが攻撃していたからです。政府が決定する料金すべてが上り、それが物価をつり上げております。このことがインフレになり利子を上げています。工業団体は購買力がなくなったので、生産しても売れず、なおかつ利子が高いので月賦販売もままならず、また失業者を少なくするのにも歯止めをかけております。ただし農業部門だけは生産も拡大し、輸出も増大し外貨獲得に貢献しております。
私の予想ではルーラ大統領は小学校しか出ていないのできっとエラーが多いのではないかと思っていましたけど、彼の演説は難しい言葉は使わず、国民だれもが解りやすいように演説しますので私達の胸を打つものがあります。
国民に餓死をなくしようとの運動も、彼が北伯に生まれ父親に捨てられ、母と共に貧しい少年時代を送ったから、国民は実感として感ずるのです。もし別の大統領や候補者があのようなことを言ったら選挙の宣伝だとしか映らないでしょう。彼は今までの大統領と違い、国民最低のところから這い上がり、大統領という最高の地位に就いた人で、ブラジルにも世界にも類のない人物です。そのことが国民に勇気と、頑張れば誰にでもチャンスは与えられてるんだとの気持ちを起こさせます。誠にブラジルに血も流さずに革命が起こったといえるでしょう。そして知識人の中にも今度は本物かもしれないとの感じを与えたように思われます。まだ課題は残されています。税制改革、年金改革、政治改革、労働改革、農地改革とたくさんの課題が手もつけず残っています。与党と野党をどうまとめて説得するか、新大統領の手腕を国民は期待しております。
彼が金持ちと貧乏との差を縮めることが出来たらノーベル賞に値するでしょう。❀

*編者註      フォーメ・ゼロ運動:ルーラ現大統領が提唱する飢餓をなくす政策。

コーヒー栽培

ブラジルに移住して以来、今日までコーヒー栽培に従事している。
コーヒーの歴史を辿ると、アラビアが原産地で、オアシスの木の陰に自生していたと伝えられている。初めアマゾンに移植され、南下してリオ州で大々的に栽培され世界的に知られるようになった。そ
の後、サンパウロ州全体で栽培されてブラジルの輸出産業となり、ブラジル国内の第一輸出品となった。サンパウロ州では大地主達が
コーヒーで利益を上げ、国王より貴族の称号を与えられた。現在でもその屋敷が数多く残されている。第一次大戦後、世界大不況が訪れコーヒーは売れなくなり、川などに捨てられたようです。それ以外にもアフリカ人の奴隷労働者に頼っていたのが奴隷解放後、イタリア、ポルトガル、スペインなどから外国移民を入れ始め、最後に日本人が受け入れられた。殆どの日本移民がコーヒー園で働いた経験を持っている筈です。
コーヒーは殆どが発展途上国によって栽培され、先進国で消費されていて嗜好品とされ、その価格は生産者から消費者に渡るまでには百倍にもなっていますが、ブレンダや宣伝により世界で愛好されるようになっています。
昭和の初めには、 一杯のコーヒーから、 という歌まで流行り、日本に宣伝されたようで、コーヒーを飲むことがひとつの贅沢だったようです。
1950年代には高値で取引され、コーヒー豆100俵でトラック一台買えました。その後、北パラナ一帯が肥沃な土地に加えて一大生産地となり、世界的に生産過剰になったので、国家の保護のもとに補償されて生産されていました。買い上げたコーヒーが国の倉庫に眠り、一時期は焼き払ったことさえあった。その後政府の保証はなくなりコーヒーも世界市場原理の下に価格が動くようになった。
サンパウロやパラナ州の生産量は減少し、代わりに新しい品種と新しい技術による密集栽培で集約的に生産高を上げ、今日に至っているのです。この4、5年不況に遭いましたが、現在は良くなっています。
今ではミナス州が大生産地で、パラナ州は3位に留まっているようです。❀

2004年度ブラジル農業白書

今年度の最後の作物、小麦の収穫が終わりました。去年の10月から植え付けたトーモロコシ、大豆、コーヒーの収穫、そして小麦とブラジルのパラナ州は一年に春、秋と土地を休めず二度作物を収穫します。昨年からの良い収穫と値段のよさが今年の初めまで続き、農業者を潤しております。
しかし、多くの肥料と農薬品を使い、生産は向上していますけどコストも高くなっています。大豆がヘクタール当り50俵(60Kg)、トーモロコシは60俵とコスト以下ですが、小麦がアルケール135俵と良い成績を収めております。値段のほうはトーモロコシは去年の豊作でか余剰物がありで安く、大豆は世界最高の値段で初めは支那に取引され17ドルもしましたけど、中国政府は大豆に薬品が混じっていると荷揚げを拒否し、その後は値段が安くなり、11ドルを維持しております。コーヒーは一時、霜の予想で80ドルまでしましたけど、霜はなく60ドルの値段を維持しております。以上のように作物の値段は世界市場に左右され、最高の値段で売ることは難しく、損をすることがなければ良い方です。何よりも生産を上げることが第一で、計画を立てて輪作することが大切のようです。
ブラジルに於ける農業の役割は大きく、国家全生産の33パーセント、輸出の30パーセント、労働者の37パーセントを占めており農業国といえます。特に牛肉、鶏肉、ミカンジュース、砂糖、コーヒーなどの輸出は世界のトップにあり、今後も伸びる産業です。
10月から始まる夏の植付けはコストが25パーセント上昇し、反対に値段は安くなることが予測されています。原因はアメリカが豊作で世界市場がだぶついているからです。大豆は12ドル、トーモロコシ7ドル、コーヒー80ドル、綿花がアローバ当り6ドルと予測されています。
今年は農業者にとって最高の年だといえます。小泉首相がブラジルを訪問されアルコール燃料とマンゴーの輸入を契約しました。また石油価格が上昇するなか、地球温暖化を防ぐためにもアルコールを燃料として取り入れたいと各国が語っています。
70代にもなって農業を続けることは脳の活性化にも繋がり、脳は使えば使うほど脳細胞の新陳代謝が行われボケを防ぐといわれています。また新しい技術に挑戦するのも張り合いが持てるのです。
来年は棉栽培に挑戦したいと思っている次第です。❀

資料 4
1アルケール(alqueire):ブラジルで使われている土地の面積単位 24,200 m2
1アローバ(arroba):ブラジルで使われている重量単位 15 kg

棉 栽 培

1970年前後、北パラナでは棉栽培が盛んでした。カンバラの町でも盛んに栽培されて多くの日系人が借地農として入り、町は活気にあふれていました。
棉は収穫に人手が要り、たくさんの労働者にお金が回ったのです。ブラジルの輸出産業であり、この国の製糸工業の原料でもあったのです。その後、アメリカの輸出保護により国内製糸工場は価格の安いアメリカ産の綿花を使用するようになり、国内産は売れなくなって、棉栽培は減少していきました。2000年頃にはパラナ州からは殆ど消えていました。その後、マット・グロッソ州*で大規模な、植付けから収穫まで一貫した機械化農業が確立され、国内用原料を賄い、なお輸出するようになった。その影響を受けてパラナでも棉栽培を始める農業者が出てきたのです。
現在は以前と違って間引きすることもなく、品種も改良されて収量も多く、機械で収穫しますので私も植えてみることにした。輪作に夏蒔きトーモロコシを植えていましたけど、 一度も利益を上げたことがなく、棉を植えることにしたのです。その前に経験のある棉栽培者の農場を訪ね、見事に満開した棉に圧倒されてしまったのです。畑一面真っ白に咲き、そして機械で収穫するのです。650アローバ
穫れるとのことでした。それが私を棉栽培に挑戦させたのです。
70歳にしての挑戦でした。他人が出来ることは自分でも出来るとの思いがあったのです。
農業技師の話をよく聞き、まず肥えた土地、平坦な地形を選び、雑草のない土地に植えることにしました。そこは冬作に小麦を蒔き、一面小麦で覆われ草ひとつ生えなかったので大丈夫と棉を植えたのです。 除草剤を撒き万全を期したのですけど、思いがけないことに除草剤の効かない草アメンドインがぎっしり生えたのです。サー大変、夜も眠れぬほど動揺しました。人手による除草ですと棉まで切ってしまう恐れがあったのです。適した除草剤を求めてオランブラ組合まで行きました。それが高価な薬剤で利益を脅かすほどに使いました。成長を止め、その間に棉が伸びて被されば伸びなくなるとの予想でした。しかし今年は雨が多く、薬剤の効果も薄れ、草はどんどん伸びて行きました。棉もよく伸び成績は良いようですけど、また初めから草取りせねばならなくなっています。雨は毎日のように降るし、天のすることはどうすることも出来ません。ブラジルの北と南とで旱魃に悩んでいることを思えば有難いこととだと自分に言い聞かせております。自分の愚かさからとはいえ、胸を締め付けるようにもがき苦しみ、これもひとつの体験だと思っております。
このような悩みは私の妻や家族は一切知らず、私も生活に困ることではないので、自分の失敗に苦笑しております。人間よく自分の成功を大げさに語る人が普通ですが、その反対に自分の失敗を笑って語り得る人は人生を堂々と乗り切ることが出来るのです。
70歳にしての棉栽培はとんだ体験で、体が耐えたから良かったけど、病気でもしていたら本当の失敗でした。❀

*編者註 マット・グロッソ州:ブラジルの東部に位置し、ボリビアと国境を接する。面積は日本の約2.4倍。州都 クヤバ。

D N A

私達はよく歩き方や体の動作まで良く似た親子を見ることがある。親、兄弟どこか似た特徴を持っている。このようなことはすべて遺伝子によるものだと考えられる。これは単に体の構造だけでなく、親の持っている脳の働きや、また特質な病気までも遺伝子の中に組み込まれているようです。癌や糖尿病、心臓病なども遺伝子の中に組み込まれ、受け継がれることがあるようです。また自分の子であるかないかもDNAを比べれば判る時代です。
動物の実験では同じDNAを持った動物を作り出すことも出来るようです。簡単な生物はDNAの配列も簡単で、その子孫のDNAも簡単で兄弟も似たようなものです。しかし人間の遺伝子は配列が複雑で僅かな部分だけが違うようです。農業の分野でもブラジルですと配合に配合を重ね、この国に適した品種が出来、現在の生産にたどり着いたのです。大豆やトーモロコシもそうです。
DNAとは各自の生物がもっている特質といえそうです。
人間の脳の働き、記憶力には大差があるようで、トランプの重ねた配列52枚を覚える人もおります。脳は使えば使うほど発達し、それが遺伝子につながり子孫へ受け継がれると考えられるのです。

二世の職業

日本人の二世はあらゆる職業分野に進出している。まず医者、歯医者、エンジニア、教育者、政治家、連邦議員に6名もおりましたけど現在はただ一人だけパラナから選ばれています。しかも日本人団体を基盤にしてではなく、ある新興宗教団体の支援で当選しており、以前は日系を基盤にアントニオ上野さんが何期も当選していましたが、二世 三世になると自分の職業と関係を持った候補者に入れるようで、あまり日系人との意識を代表していないようです。
先日、ルイス州議員が支援の御礼に来られ話し合いました。その話の中で日系市長の免職が多いことが話題になり、政治家としての何かが欠けているように思われるのです。まず政治家は正直ではまとまらず、裏切ることも日本人は道徳的に許さない。そのような多様性、太っ腹でないと務まらないような気がするのです。
ブラジルの諺に、鉄道線路の上を歩くと汽車に跳ねられる、とあり正直すぎると怪我をするとの意味のように、二世までが日本人の純真さを受け継いでいるようにも取れます。良い例が、上院議員エレナさんがPT*の伝統を政治情勢が変わっているのに頑なに守り続け、ついに政党から除名された例が政治家の多様性が求められます。
道一筋には行かないのが政治家のようで、二世には欠けているように思われるのです。❀

*編者註       PT : Partido Trabalhista (労働党)。現与党。